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普段はあまり着ることのない上着に袖を通して外出してみる。

寒いので両手をポケットにつっこむと、片手に何か冷たくて固いものの感触が。
ん? と思い、つまんで取り出してみると、500円玉だ。
おおっ。となんだか得した気分になって首の辺りがホクホクしてくる。

500円玉は、サイズも重さも程良くずっしりとして、それなりの装飾されてもいるし、手に入れるとなんだか嬉しい気持ちになる。通常、1000円札から1枚しか得られない、という出会いの貴重さも起因しているかもしれない。とにかく特別な感じだ。

わたしの毎日は、まあ平凡なものである。その中にそっと差し込まれるこのささやかな嬉しい驚きには、500円以上の価値があるのではないか。

***

今度、500円玉を入手したら、適当な場所に隠してみようか。
なるべく無心で記憶に残らないように。

それを忘れた頃、過去の自分が隠した500円玉を見つけて、ちょっぴり嬉しい気持ちになる場面を想像する。
これは、わたしのつるんとした平坦な毎日の、程良い刺激になるかもしれない。

つまり、500円玉を、未来の自分の驚きのために投資するということだ。

夏服のポケットの中、冷凍室、植木鉢の下、スニーカーのソールの裏、76ページと77ページの間……。
しかける場所は無限にある。

あ。そういえば、我が家には植木鉢がない。
買おう植木鉢。

Ólafur Arnalds – Old Skin ft. Arnór Dan

わたしが死ぬまでに会いたいミュージシャンの一人、オラフルアルナルズ from Iceland。
一時期リリースラッシュしてたけど、若干間をあけて、久々に新作が。

しかけ500円

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