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名前がおぼえられない。とくに、二文字の名前が怖い。

慎ましく生活をしていても、ときどき、初めて出会うひとの自己紹介を受ける機会がある。その相手が女の子だったりすると「○○ちゃんです」と言われることがよくあるのだ。

が。

うー。○○ちゃん、などと言われてしまうと、「ちゃん」の破壊力が最初の二文字に勝ってしまい、前半がすぽっとどこかへ抜け飛んでしまう。えー「ちゃん」なんて呼べませんわたし、とひるんでいるうちに、相手の紹介は終わっている。その状況に気がついて、はっ、としていると、今度は、自分の名前を伝えることを忘れてしまう。紹介タイムはこれで終わりだ。

頭に残っていることといえば、あのコは「??ちゃん」とよばれている、ということだけで、この情報はほぼ無価値に等しい。わたしは彼女の名前を覚えていない。彼女はわたしの名前をきいてすらいない。

怖いちゃん

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