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外出しようかな、と思っていた矢先、なんか、ある年に舞った1年分の花粉の量と同じ量の花粉が、今日一日で飛散するという噂を耳にする。これは、今日の花粉の量がものすごく多いのか、「ある年」の花粉の量が極端に少ないのかのどちらかに違いない。

だが、わたしは怯まない。
なぜなら、それを知った瞬間、即座に外出をやめることにしたからだ。

わたしは重度の花粉症である。この時期は、心身共にほぼ8割が機能していない。頭が重く、目は開かない。鼻の穴が閉じているので味覚も大味になっていてつまらない。雑に言ってしまうと、この時期わたしは「半分死んでいる」。ゾンビなわたし。日光に晒されると消滅してしまう悲しいゾンビ、そんなゾンビも中にはいる。

何もせず、何も思わず、ただ花粉の嵐が過ぎ去るのを待っていたい。
正月休みはいらないから、春休みが欲しい。
花粉の飛ばない国があるなら移住したい。

***

かくして、今日は一日自宅でパソコンを触っていた。ネットサーフィンという死んだ言葉を思い出す。いや、そんなに触ってないか。ただ、眺めていた。NO NUKESという音楽フェスがUSTで配信されるいうということに出掛ける直前で気がつき、それをずっと観ていたのだ。

晩ごはんの米を炊きながら、YMOのRYDEENを聴いているとき、わたしの心はとてつもないほど高揚していた。部屋を暗くして目を瞑っていたが、心は跳ねるように躍っていた。

円熟したお三方のRYDEENは言葉にできないほど見事だった。とくに、細野さんは紳士で落ち着いていて、演奏も粛々とこなしておられ、また一段と惚れてしまった。教授と幸宏さんも良い意味で力が抜けていて、自身も楽しんでおられるようで、いつもとはまた違う魅力があった。

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NO NUKES 2013

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普段はあまり着ることのない上着に袖を通して外出してみる。

寒いので両手をポケットにつっこむと、片手に何か冷たくて固いものの感触が。
ん? と思い、つまんで取り出してみると、500円玉だ。
おおっ。となんだか得した気分になって首の辺りがホクホクしてくる。

500円玉は、サイズも重さも程良くずっしりとして、それなりの装飾されてもいるし、手に入れるとなんだか嬉しい気持ちになる。通常、1000円札から1枚しか得られない、という出会いの貴重さも起因しているかもしれない。とにかく特別な感じだ。

わたしの毎日は、まあ平凡なものである。その中にそっと差し込まれるこのささやかな嬉しい驚きには、500円以上の価値があるのではないか。

***

今度、500円玉を入手したら、適当な場所に隠してみようか。
なるべく無心で記憶に残らないように。

それを忘れた頃、過去の自分が隠した500円玉を見つけて、ちょっぴり嬉しい気持ちになる場面を想像する。
これは、わたしのつるんとした平坦な毎日の、程良い刺激になるかもしれない。

つまり、500円玉を、未来の自分の驚きのために投資するということだ。

夏服のポケットの中、冷凍室、植木鉢の下、スニーカーのソールの裏、76ページと77ページの間……。
しかける場所は無限にある。

あ。そういえば、我が家には植木鉢がない。
買おう植木鉢。

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しかけ500円

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